こんにちは、株式会社MMOLの佐藤です。
事業会社の人事をしていた経験から、主に採用支援やバックオフィスの効率化支援を担当しています。
本日は"採用業務にAIを取り入れるヒント"をお届けいたします!
採用業務の工数削減と質の向上は、多くの企業にとって重要な課題です。
生成AIの登場により、採用においても様々な業務を効率化できるようになりました。
しかし、「どのAIツールを選べばいいか分からない」という声も多く聞きます。
本記事では、採用業務の具体的なシーンごとに、最適なAIツールの選び方と活用方法を初心者にも分かりやすく解説します!
1. 採用業務×AI活用で変わること
「魅力的な求人票を書くのに手間と時間がかかる」「面接の記録作成が追いつかない」
採用に関わっている方であれば、一度はぶつかる壁ではないでしょうか。
これらの課題に対して、AIツールは強力な解決策となります。
実際にAIを導入した企業では、求人票作成時間を大幅に削減し、面接記録の作成をものの数分で完了できるようになったケースもあります。
重要なのは、AIは人間の「代替」ではなく「支援」ツールだということです。
採用業務において人間の判断や感性は引き続き必要ですが、作業的な部分をAIに任せることで、より戦略的な業務に時間を使えるようになります。
2. 求人票・募集要項作成に最適なAIツール
候補者の応募を左右する求人票ですが、0から作成するのは想像以上に労力がかかります。
応募状況に応じた内容のブラッシュアップや、掲載媒体の特色にあわせたテキスト調整も重要です。
しかしながら、そこまで手が回らないという担当者の方がほとんどではないでしょうか。
AIを活用することで、この業務を大きく効率化することが可能です。
各ツールの特徴を理解する
求人票作成に使える主要なAIツールには、それぞれ明確な強みがあります。
■Claude(無料〜$20/月)
Claudeは文章の自然さと文脈理解力に優れています。
企業のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)や独自の社風を反映した、オリジナリティのある求人票を作成したい時に最適です。長文でも一貫性を保ちながら、読み手に響く文章を生成できます。
■ChatGPT(無料〜$20/月)
ChatGPTは汎用性の高さが特徴です。テンプレート作成や、複数の求人媒体向けにバリエーションを作る際に威力を発揮します。
構造化された出力が得意なので、項目別に整理された求人票を効率的に作成できます。
■Gemini(無料〜2,900円/月)
Geminiは、Google検索との連携により最新の業界トレンドを反映できる点が強みです。競合他社の求人動向を踏まえた差別化ポイントを盛り込みたい時に活用できます。
また、様々なデータ形式を読み込むことができ、他のGoogleサービスとの連携もシームレスに行えます。
■Perplexity(無料~$20/月)
Perplexityは「リアルタイムで信頼できる情報を検索・要約する機能」に秀でており、事実確認や業界動向の把握において強力なツールです。情報源を明示しながら回答してくれます。
業界の給与相場や必要スキルセットなど、データに基づいた情報を求人票に含めたい時に便利です。
実践的な使い分け方法
では、実際にどのように使い分ければよいのでしょうか。3つのシーンで解説します。
①会社の独自性を打ち出したい時
推奨ツールはClaudeです。例えば、以下のようなプロンプトを使います。
「当社は『顧客の成功が私たちの成功』というビジョンを掲げるSaaS企業です。フラットな組織文化で、エンジニアも顧客との対話を大切にしています。この特徴を活かした、バックエンドエンジニアの求人票を作成してください。必須スキル:Python、AWS、3年以上の実務経験」
Claudeは、このような抽象的な価値観を具体的な魅力として文章化することが得意です。
②複数媒体向けにパターンを作りたい時
ChatGPTが最適です。「Indeed向け(簡潔・キーワード重視)」「Wantedly向け(ストーリー性重視)」「リクナビ向け(詳細情報重視)」といった指示を出すことで、媒体特性に合わせた求人票を効率的に作成できます。
③情報を充実させたい時
まずPerplexityで業界情報を収集し、その後ClaudeかChatGPTで文章化する組み合わせが効果的です。「データエンジニアの最新の需要動向と求められるスキルセットを教えてください」とPerplexityに聞いてから、その情報を基に求人票を作成します。
より効率化するヒント
MVVや会社として求める人物像、文章のトーン&マナーなど、全職種共通の項目はGoogleドキュメント等にまとめておくと便利です。
前提情報はそのドキュメントを添付する形にすれば、毎回同じ指示を出す必要がなくなり、職種固有の情報のみで完結できます。
自社の採用サイトに情報がまとまっている場合は、そのURLを添付するのもよいでしょう。
また、自社情報を盛り込んだ「求人作成用のGPTs*」を作成するのも有効な手段です。
*GPTsとは:ChatGPTのインターフェース内で、ユーザーが自分の目的に合ったAIアシスタントを簡単にカスタマイズできる有料版限定の機能。
3. 面接議事録・要約を効率化するツール
面接の議事録を残しておくことは、採用活動の振り返りや改善において非常に重要です。
しかし、1日に何件もの面接に入っていると、議事録が追いつかなくなったり、内容が薄くなってしまったりするのが実情です。
文字起こしとその要約を効率化することで、自身の評価と所感を書くことのみに注力でき、議事録の質を均一化することができます。
文字起こしツールの選択
面接の記録作成において、まず重要なのが正確な文字起こしです。
■Gemini(Google Meet連携)
Geminiは、Google Meetを使用している企業にとって最も導入しやすい選択肢です。
面接中に自動で文字起こしが行われ、終了後すぐに内容を確認できます。日本語の認識精度も向上しており、専門用語も比較的正確に拾えます。
■tl;dv(無料〜4,980円/月)
tl;dvは、ZoomやGoogle Meetと連携し、自動で要約まで作成してくれる点が特徴です。
各候補者の重要ポイントをハイライトで管理できる機能が便利です。タイムスタンプ付きで特定の発言にジャンプできるため、後から確認したい部分をすぐに見つけられます。
■Notta(無料〜1,980円/月)
Nottaは、日本企業が開発したツールで、日本語の認識精度が特に高いです。リアルタイムでの文字起こしはもちろん、録音ファイルのアップロードにも対応しています。
要約作成の効率化フロー
文字起こしができたら、次は要約です。ここでもAIツールを使い分けることがポイントです。
構造化された要約(評価項目別の整理など)が必要な場合は、ChatGPTが適しています。「以下の面接記録を、技術スキル、コミュニケーション能力、志望動機、懸念点の4項目で整理してください」といった指示で、見やすい面接議事録を作成できます。
(※ChatGPTの無料版は入力した情報がAI学習に使用されるため、有料版の利用を推奨します)
また、採用管理システムに面接官の質問とそれに対する候補者の回答をQ&A形式で残しておきたいというような場合も、ChatGPTに変換・要約の指示を出すのがおすすめです。
一方、候補者の人柄やニュアンスを残した要約が必要な場合は、Claudeが優れています。微妙な表現の違いや、言葉の裏にある意図まで汲み取った要約を作成できます。
実践的なワークフローとしては、「tl;dvで自動文字起こし→Claude/ChatGPTで目的別に要約」という流れが効率的です。
文字起こしがあまり正確でなさそうな場合は、要約時に「発言の前後の文脈から、文字起こしツールの誤変換と思われる部分は自然な日本語に修正する」などの指示を追加するのがおすすめです。
このプロセスにより、1時間の面接を10分程度で振り返り可能な形にまとめられ、評価入力に集中することができます。
4. AI導入を成功させるための注意点
セキュリティとコンプライアンス
AI活用で最も注意すべきは、個人情報の取り扱いです。候補者の氏名、連絡先、現在の勤務先などの個人情報は、AIツールに入力しないことが原則です。
また、面接の録画や文字起こしを行う際は、必ず候補者の同意を得ましょう。場合によっては、自社のプライバシーポリシーの改定も必要になります。
各ツールのデータ保持ポリシーもきちんと確認しましょう。
無料版では入力内容が学習データとして使用される場合があるため、企業の機密情報や候補者の個人情報を扱う際は有料版の利用を検討してください。
段階的な導入のすすめ
いきなりすべての業務にAIを導入するのではなく、まずは「求人票のブラッシュアップ」など、リスクの低い業務から始めることをおすすめします。
効果を実感できたら、徐々に適用範囲を広げていきましょう。
成功のポイントは、「AIへの丸投げ」を避けることです。AIが生成した内容は必ず人間がチェックし、企業の実情に合わせて調整します。
また、プロンプト(AIへの指示文)は継続的に改善していくことで、より良い結果を得られるようになります。
まとめ:適材適所でAIを活用する
AI活用は、ツールの特性を理解し、目的に応じて使い分けることが成功の鍵です。
求人票作成は、独自性を出したい時はClaude、効率を重視する時はChatGPTを。面接記録では、Google MeetユーザーはGemini、より高機能を求める場合はtl;dvを選択するのがおすすめです。(2025年9月現在)
まずは一つの業務で試してみて、効果を実感してください。小さな成功体験を積み重ねることで、組織全体のAI活用が進んでいきます。
採用業務の効率化についてさらに詳しく知りたい方、自社に最適なAI活用方法を相談したい方は、ぜひ一度MMOLにご相談ください。
信頼できるパートナーとして、貴社が自走し続けるための持続可能な仕組みづくりを支援いたします。