AI導入率24%という数字をどう見るか

AI導入率24%という数字をどう見るか

バックオフィスの「導入すべきかどうか」判断基準

|日出嶋有希子

「AIって気になるけれど、まだ早い気がする。」

経理や総務、労務の現場でお客様と話をしていると、このような声をよく耳にします。

一方で、「AIを使っています」という企業も少しずつ増えてきました。

では実際のところ、どのくらいの企業が導入しているのでしょうか。

ある調査では、経理業務にAIを導入している企業は約24%という結果が出ています。

つまり、約4社に1社です。

さらに興味深いのは、その導入企業の68.3%が「効果を実感している」と回答していることです。

この数字を見ると、「導入した企業は満足している。でも、まだ多くの企業は導入していない」という状況が見えてきます。

では、この24%という数字をどう考えればよいのでしょうか。

「まだ導入していない」が悪いわけではない

AIという言葉だけを見ると、「早く導入しなければ遅れてしまう」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、私は必ずしもそうは思いません。

AIは導入すること自体が目的ではありません。

本当に大切なのは、「自社の課題を解決できるか」です。

例えば、

  • 毎月同じ問い合わせが何度も来る

  • 経理担当しか分からない業務が多い

  • 月末になると残業が当たり前

  • 社長が数字を確認するまでに時間がかかる

こうした課題があるなら、AIを検討する価値は十分あります。

逆に、業務量が少なく、困りごとも特にないのであれば、今すぐ導入する必要はないかもしれません。

重要なのは、「AIを入れること」ではなく、「今の課題を解決する手段としてAIが合っているか」を考えることです。

導入の判断基準は「人数」ではない

「うちは小さい会社だから、AIはまだ必要ない。」

これもよく聞く言葉です。

しかし、実際には会社の規模よりも、業務の属人化や忙しさの方が重要です。

例えば一人経理の場合、

  • 担当者しか処理方法が分からない

  • 休むと業務が止まる

  • 判断基準が口頭でしか残っていない

このような状況では、会社の規模に関係なくAIが力を発揮する場面があります。

AIは人の代わりになるものではなく、「知識を整理し、必要な時にすぐ取り出せる仕組み」を作ることが得意だからです。

「効果を実感している企業」が多い理由

導入企業の約7割が効果を感じている背景には、AIにすべてを任せているわけではない、という点があります。

実際には、

  • 社内ルールをすぐ確認できる

  • 請求書や経費精算の判断をサポートする

  • 定型的な質問にすぐ回答する

  • 必要な情報を探す時間を短縮する

といった、「人の仕事を少し楽にする」使い方から始めている企業が多くあります。

だからこそ、現場で無理なく定着し、効果も実感しやすいのでしょう。

今が導入のタイミングかを考える3つの質問

もしAI導入を迷っているなら、次の3つを自社に問いかけてみてください。

① 同じ質問や確認作業を何度も繰り返していないか。

② 特定の人しか分からない業務が増えていないか。

③ もっと判断に時間を使いたいのに、日々の作業に追われていないか。

この3つのうち、一つでも「はい」があるなら、AIを検討するタイミングかもしれません。

AIは「早く導入した会社」が勝つ時代ではない

AIの世界は変化が早く、「早く始めた方が有利」と思われがちです。

しかし、バックオフィスでは少し違います。

重要なのは、「どれだけ自社の業務を理解した上でAIを活用できるか」です。

業務フローや社内ルール、判断基準を整理しながらAIを取り入れた企業ほど、長期的には大きな効果を得られると感じています。

だからこそ、導入するかどうかを焦って決める必要はありません。

一方で、「困りごとがあるのに、AIはまだ早い」と考え続けることも、機会を逃してしまう可能性があります。

24%という数字は、「まだ少数派だから待とう」という意味ではなく、「導入した企業では効果を感じているケースが多い」という事実でもあります。

大切なのは流行に乗ることではなく、自社の課題と向き合い、「今の自社にとって必要か」を考えること。

バックオフィスのAI導入は、その判断から始まるのだと思います。

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