カジュアル面談を「雑」にしていませんか?
カジュアル面談に関する、少し気になる調査データが出ていました。
なんと、3人に1人がカジュアル面談で志望度が下がった経験があるとのこと。
採用の入口として広く使われるようになったカジュアル面談が、むしろ志望度を下げる場になっている。
カジュアル面談を実施している側として、これは見過ごせない数字だなと感じました。
今日は、なぜこういう状況が起きているのか、そして私がカジュアル面談において何を大事にしているのか、書いてみようと思います。
SNSでよく見る「騙し討ちカジュ面」
X(旧Twitter)やSNSを見ていると、こんな投稿をよく見かけます。
「カジュアル面談だと聞いて行ったら、完全に選考だった」 「志望動機を聞かれて、後日合否連絡が来た」 「カジュアルと言いながら、評価する目線で見られていた」……
カジュアル面談は、候補者と企業がフラットに対話する場として広がってきた仕組みです。
「カジュアル面談」という言葉を都合よく使って、候補者を騙すような形で選考に進ませるやり方は、企業として誠実とは言いにくいなと感じます。
一部の企業のこういった振る舞いが、「人事」という肩書きを持つ人全体への信頼を下げているのも気になります。
実直にやっている人事までもが候補者から最初に疑いの目で見られ、「これ、本当にカジュアル面談ですか?」と確認しないと安心してもらえない状況になっている。これは大きな損失です。
そして、騙し討ちで選考を実施した会社が長期的に得をしているとも思えません。「候補者に対して不誠実な会社に入社したい」と思う人は少ないでしょうし、評判は遅かれ早かれ広まります。
短期的に数を稼げても、信用は積み上がりません。
なぜカジュアル面談で志望度が下がるのか
データに戻ります。3人に1人が「志望度が下がった」と答える背景には、いくつかパターンがあると感じています。
①そもそも選考だった(騙し討ち)
前述した話です。これが一番志望度を下げ、企業の信用を損なうやり方だと感じます。
②面談担当者の質が低い
候補者と対等な立場ではなく、評価者目線で対応している。
候補者のレジュメを事前に確認していない。会社の魅力を自分の言葉で語れない。
カジュアル面談は「企業の代表」が候補者と対等な目線で話す場です。
面談担当者の準備不足が、そのまま「会社の準備不足」として伝わってしまいます。
③目的が曖昧で雑談に終わる
「とりあえずカジュアル面談を設定しました」だけで、企業側にも候補者側にも目的がない状態。汎用的な会社紹介と雑談で終わって、お互いに何の判断材料も得られない。
これは志望度が一気に下がるというより、応募に繋がらなくなる確率が上がるパターンです。「特段マイナスな印象はないが、選考に進みたいと思えるポイントはなかった」という感想で終わってしまいます。
カジュアル面談で大切にしていること
私が以前ブランディング会社で人事をしていたとき、カジュアル面談実施後に選考へ進む候補者の割合は8割を超えていました。
事業的にカジュアル面談がマッチしていたこと、そして可能性がありそうな方と面談していたという前提はあるものの、丁寧に設計すればこのくらいの結果を出すことも可能です。(また、選考に進んでもらうよりもミスマッチを減らすことが真の目的とも言えるため、カジュ面から選考に進む割合が高ければ高いほどいいというわけでもありません)
その中で大切にしていたことを書いていきたいと思います。
■ スタンスや目的を最初に共有する
まずはじめに、「これは選考ではありません」と明示する。
そして、「転職先を検討するための材料集めの場にしてほしい」「気になる点や懸念点をクリアにしてほしい」「当社と本当にマッチするかをすり合わせるために、転職軸を詳しく教えてほしい」など、会社側のカジュアル面談におけるスタンスを伝えます。
目的が揃った状態で面談を始めるかどうかで、その後の時間の濃さが全く違ってきます。
■ 事前案内をきちんとする
メールで面談のスタンス、大まかなアジェンダ、当日聞いてほしいことなどを事前に送る。候補者にも準備の時間を持ってもらう。
当日の対話の質が上がりますし、候補者も安心して面談に臨めます。
■ 事前に候補者のレジュメを読み込む
経歴、興味、転職理由、今後のキャリアプラン等(記載があれば)を確認して、自社との接続点を考えておく。
「この経験があればこの案件で活躍できそう」「既存メンバーにはないスキルがあるからこういった新しいことができそう」「今後のキャリア志向が自社であれば叶えられそう」などをレジュメから想定しておき、面談の中ですり合わせを行うと、双方にとってより有意義な時間になるはずです。
クライアントとの初回のミーティングに、先方のことを調べずに臨むことはないと思います。あるいは、自分がお客様側の場合「あ、この人うちの会社のこと全然調べてないな」というのはよくわかってしまうものです。
それと同様に、こちらが候補者を知ろうとしている姿勢/準備していないなという印象は、想像以上に相手に伝わっています。
■ 会社紹介一辺倒にしない
企業側が一方的に話す場にしない。会社紹介はもちろん必要ですが、適宜候補者側にも問いかけをして、対話の場にすることが大切です。
会社紹介の前に、「どういった点を重点的に知りたいか」を候補者側にきくのもおすすめです。候補者の質問時間も多めにとれるように設計しています。
■ 正直に話す
誇張しない。いいところばかり話さない。できないことを「できる」と言わない。
「うちの会社にはこういう課題がある」「この部分はまだ整っていない」といった、自社の課題や弱みもきちんと話します。誤魔化さない方が、結果として候補者の信頼を得られ、ミスマッチも防止できます。
■ 評価しない
これは大前提です。カジュアル面談は選考ではないので、評価する目線では見ない。「この人を採るかどうか」ではなく、「この人にとってうちの会社は合いそうか」を一緒に考える時間にしています。
その結果、企業側・候補者側いずれも「合わなそう」という結論になっても問題ありません。入社後にミスマッチが発覚することに比べたら、その損失は微々たるものです。
カジュアル面談は、会社の姿勢が出る場
実は、カジュアル面談ほど企業の姿勢がそのまま出る場面はないのではないかと思います。
選考の場では、誰でもある程度かしこまります。でもカジュアル面談は「フラットな対話の場」として設計されているからこそ、企業側の素が出ます。準備不足も、誠実さも、相手に対する態度も、全部見えてしまう。
候補者は、面談官の言葉だけでなく、面談官の準備の有無、話し方、態度、質問への反応──そういった細部から会社の文化を読み取っています。
カジュアル面談は、企業が自分たちの姿勢を最も無防備に晒す場でもある、と捉えた方がいいのかもしれません。
「とりあえずカジュアル面談を設定すれば応募が増えるだろう」という発想で雑に運用すると、応募が増えるどころか減る方向に振れる可能性が高いです。
3人に1人が「志望度が下がった」と答えているのは、おそらくその結果です。
採用は信用を積み上げる活動
採用は、一回一回の接点で会社の信用を積み上げる活動です。
求人票の言葉、スカウト文面、カジュアル面談、選考、内定後のフォロー。すべての場面、ひとつ一つの言葉が「会社の印象」につながっていると言っても過言ではありません。
逆に言えば、どこか一つでも雑な対応をすれば、そこまで積み上げた信用は崩れます。カジュアル面談で「騙し討ち」をしたら、その瞬間にそれまでのすべてが無効どころかマイナスになってしまう。
候補者は採用の場面においては「候補者」かもしれませんが、今後クライアントやお客様、ユーザーになる可能性があります。そういった意味でも、採用に関わるメンバーは「会社のイメージを背負っている」という自覚を持っていなければいけません。
これは会社をよく見せなければいけないという意味ではなく、誠実さや真摯さが重要だということです。
カジュアル面談を「気軽な集客の手段」だと捉えているなら、設計を見直す必要があります。
気軽さは候補者側のもので、企業側は誠実さで応える場として位置付け直す。それだけで、結果はかなり変わってくるはずです。
──「カジュアル面談を実施しているけれど、応募や内定に繋がらない」「候補者の反応がいまひとつ手応えがない」……
このようなお悩みをお持ちの場合、面談自体もそうですが、前段の設計に課題があることも多いです。
MMOLでは、自社の魅力の言語化から媒体・カジュアル面談・選考まで一貫した設計を、採用実務の視点で一緒に組み立てていきます。
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